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本書の紹介

1920年代、エドワード・バッチ博士(内科医、ホメオパス)は、自らの発見したフラワーレメディーについて、恐れを抱く人に勇気をもたらし、苦悩する人に平安を、弱い人には強さをもたらすと説明しました。このレメディーの癒す力は、心理面だけにとどまらず、肉体的にも働きかけます。

本書は、フラワーレメディーがなぜそのように働くのかを解き明かします。著者のこれまでの詳細な観察を通じて、レメディーの植物たちの成長過程に含まれる数多くの要素――ジェスチャー、特質、生態、植物学、習性――を生き生きと感じ取っていただけます。
                       <本書裏表紙より>

もくじ Contents

  • 序文
  • 第1章 感受性の高まり
  • 第2章 アスク川を歩いて
  • 第3章 太陽法(サンメソッド)
  • 第4章 『汝自身を癒せ』―― 『汝自身を解放せよ』
  • 第5章 外されたレメディー
  • 第6章 クローマーで
  • 第7章 「12ヒーラーズ」の完成
  • 第8章 「12ヒーラーズ」のアーキテクチャー
  • 第9章  4ヘルパーズ
  • 第10章 「7ヘルパーズ」の完成
  • 第11章 後半のレメディーの始まり
  • 第12章 煮沸法(ボイリング・メソッド)
  • 第13章 人生との消極的な関わり
  • 第14章 自分は悪くない
  • 第15章 影響を受けて
  • 第16章 光の到来
  • 第17章 築くパターン、壊すパターン
  • 第18章 無関心、憂鬱、絶望
  • 第19章 実践におけるパターン
  • 付録1 現代の「旅人の物語」
  • 付録2 12のタイプの病中の振舞い
  • 付録3 レメディーの植物の原産地
  • 付録4 ホメオパシーの希釈度とフラワーレメディー
  • 付録5 年表 (1886~2000年)
  • 付録6 植物のジェスチャーの観察
  • 参考文献
  • 用語集
  • 英国の地図
  • 索引

まえがき Preface

[英国版] Author's Preface

1988年に『Dr. バッチのヒーリングハーブス』(邦訳:BABジャパン出版局刊)の序文を書いた時、あの本はどのような到達点でもなく、むしろ出発点であることを示唆しました。
それから考えを発展させ、この段階に至るまでに14年という長い歳月がかかりました。
けれども、その中心にある考えは当時と全く変わっていません。
それは、植物のジェスチャーと人間のジェスチャーは対応しているということです。
オークの素晴らしい強靭さと堂々とした姿は、オークの状態にある人の感情を表しています。
また、ウォーター・バイオレット・タイプの人が持つ、洗練された雰囲気や超然とした態度は、植物の繊細な優美さに対応しています。
バッチが発見し、レメディーに用いた花の特性は、今も変わらず見出せるものです。
私たちもバッチと同じように植物をよく調べ、観察するだけよいのです。

バッチのレメディーを学ぶ人にとって、植物のジェスチャーを観察することは役に立ちます。
植物のジェスチャーは、人間の感情状態に関わる情報を与えてくれるからです。
花に基づく説明は、人間を土台にした説明と同じように価値があり、その両方が必要です。
しかし、本書の題材である、バッチの花のかたちとはたらきは、診断や心理療法で直接適用することよりも、さらに深い意味があるかもしれません。
かりにレメディーが実際に作用するとすれば ――私も多くの人と同じようにレメディーの効果を体験してきましたが―― 植物の成長の仕方には本当に意味があると言えます。
かたちを指示する意図が、偶然に基づいているはずはないからです。
バッチが記したように、生き物の住む物質界の背後には「グランド・デザイン(完全なる計画)」があり、完全なる計画と完全なる設計者が存在しています。
本書では、この物質界で作用する完全なる計画の、さまざまな側面を明らかにしていきます。

                          2002年5月

[米国版の出版に寄せて]
Preface to the American Edition

科学技術は、人間の生活を支配しています。
私たちが物質を超えた存在であることを見失わせる、独裁的な物質主義の申し子と言えます。
この点は、現代の遺伝子研究に何より明らかに表れています。
人生で起こる可能性のある出来事を示す占星図は、患う可能性のある病気を特定します。言わば、科学に基づく出生図(ホロスコープ)で、肉体の心臓まひや腎臓、あるいは脳の疾患が予測され得るのです。
一方、遺伝子学は、人間の精神構造さえ説明します。
ことによると、神学上の信念や無神論の遺伝子があるのかもしれません。
しかし、占星術の出生図が見えないものの影響、すなわち地球外の影響力を感知する一方で、遺伝子に基づく出生図はもう片方のレンズから物事を捉えています。
つまり、巨視的(マクロ)な影響ではなく、微視的(ミクロ)な影響を調べているのです。
どちらが正しいのでしょうか。
その両方が、人生における葛藤や困難の可能性を示しています。
遺伝子学は物質的な面を捉え、占星術は非物質的な面を捉えているのです。

最良の研究成果を持つ学説は、種に起こることを単に「科学的」に説明するだけのものであってはなりません。
私たち一人ひとりの人生の意味について、より多くを伝えるものであるべきです。
なぜなら、人生の意味、すなわち生きる理由こそ、私たちが最終的に見出そうとしているものだからです。
エドワード・バッチ博士の研究や発見を掘り下げることで、私は生きる意味と理由へと導かれてきました。
肉体的な種の進化と共通の軸を持つ、意識の進化があると仮定することによって、科学と形而上学、すなわちダーウィンの進化論と神聖な創造主に対する確信を調和させる方法を見出したのです。
原始の創造活動は、生命体と意識が共に存在して行なわれたのでしょう。
創世記には、創造の物理的な行為より、その過程全体が記述されています。

本書では、人間と植物の関係を詳細に考察しました。
植物と人間は共に自然界に生きています。
植物の中には「神から豊かに力を授けられた」ものがあるとバッチは記しました。
けれども、私たちが気づくことさえできれば、明らかに全ての生命に、神聖な力が豊かに与えられているように思えます。
見えないものをどのように調べるのか ――科学者は難問を抱えています。おそらく私たちは、とらわれのない目で物事を見始める必要があるのです。

             2003年12月
             ヘレフォード、ウォルターストーンにて
             ジュリアン・バーナード

[日本語版の出版に寄せて]
Preface to the Japanese Edition

バッチのフラワーレメディーに関する本書に新しくまえがきを書き、植物のかたちとはたらきについて、日本の読者の皆さんにご紹介できることをたいへん嬉しく思っています。

本書は長年に渡る研究の結果ですが、その根底には、常に私が自問している2つの点、すなわち、なぜバッチ博士はこれらの植物を選んだのか、またレメディーはどのように作用するのかという問いかけがあります。
レメディーは非常にシンプルだとバッチは語りました。
これはある意味では事実です。
彼は自分の発見を、はっきりと包み隠さず説明しました。
当初からレメディーの作り方を公表し、人々が自分で植物を見つけてエッセンスを作る工程を理解するよう働きかけたのです。
けれども、前述の2点は疑問のまま残されています。

彼は研究ノートを破棄し、自分の作り上げた体系が変えられることを望まなかったと伝えられています。
しかしこの話は、レメディーに関する探究を無意味なものにし、今日の社会で私たちがよく目にする操作(コントロール)に結びつくように思えます。
バッチ自身が「自由を得るために、自由を与えよ」と記したように、私たちは自由な気持ちで、さまざまな考えを検討できるはずです。

したがって、私は日本の読者に、日本に育つ植物や樹木をあらためて見て、それらのアイデンティティ(独自性)について、どんなメッセージを発見できるのか観察していただきたいと思います。これは、その植物の植物らしさに気づくことであり、また同時に、その植物に対応する人間の個性に気づくことでもあります。

アイデンティティを見出すことは、自己発見と意識の進化の過程における中心的なテーマと言えます。
そのために専門家や中央権力の指示は必要ありません。
私たちは自分で発見する必要があるからです。

この点でバッチの花療法は、ホメオパシーともハーブ薬とも非常に異なります。
レメディーについて、細かい専門的な事柄を知る必要はありません。
それは、レメディーが全く安全で、副作用もないからです。
バッチの花たちは、人がすでに心の奥深くで知っていること、すなわち自分の人生を特別でユニークなものにするための知識に働きかけます。
私たちは自分自身をより深く理解できるようになります。
そしてこの過程を通じて、バッチが本の題名にした通り、私たちは「汝自身を癒す」ことができるのです。

                 2012年8月
                 英国、ウォルターストーンにて

奥付  Imprint

原題:BACH FLOWER REMEDIES FORM & FUNCTION

初版:2002年 英国フラワーレメディー・プログラム刊
米国版:2004年 米国リンディスファーン・ブックス刊
(日本語版は米国版の邦訳である。)

本文、イラスト:ジュリアン・バーナード

翻訳:谷口みよ子
翻訳協力:東昭史、ギデオン・ハリス、ゆうすけ
デザイン、制作:グレン・ストーホウ
日本語版制作:中村信司
日本語版出版助成:英国ヒーリングハーブ社

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© ジュリアン・バーナード